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いごこち

村田 佳代子

今日の心の糧イメージ

 爽やかな季節になりました。日本の花暦では梅、桃、桜までが1月から4月にかけて、沖縄から北海道へと前線に沿い、開花は駆けのぼっていきます。けれども実は、節分を過ぎ三月頃から花の種類や開花時期が複雑になります。地域によって、ミモザの黄色が主流の街、ツツジの独特なピンクで包まれる街、水仙の白から菜の花の黄色、そして、チューリップの赤・白・黄色で、四月が終ります。

 また、5月になるとだいぶ地域差が出てくるようです。ポピーで有名な房総半島や、藤棚が満開の花房で包まれる足利などです。

 私が暮らす鎌倉では、連休の人気スポットは鶴岡八幡宮境内の牡丹園で、色とりどりの見事な大輪の牡丹の花が咲きそろいます。

 多くの「花の寺」と呼ばれる寺院では一斉にアヤメや花菖蒲が花をつけ、あちこちで垣根のツツジが満開になり、やがて散り始め、6月からは紫陽花が観光客をくぎ付けにします。

 わが家では、庭にハンモックをつって、この連休を花見三昧で過ごします。表通りに出れば観光客の大群に押しつぶされそうになるので、居心地の良い自宅で晴耕雨読よろしく天候によって、家族皆思い思いに普段やり残したこと、やりたかったことに時間を費やします。

 5月はマリア様の月ですから、昔は教会でロザリオの祈りの集いなども行いました。係が庭に椅子を並べ、お茶の支度をして、神父様や信徒の皆様をお迎えしたものです。

 居心地のよさとは、そこでくつろいで過ごした思い出が映像となって沢山浮かんでくることだと思います。どんなに美しい場所であっても緊張したり嫌な体験をした場所は、思い出したくはないものです。

 居心地の良い場所を持てる幸せを神様に感謝して、植物に水を灌ぐ日々です。