人はそれぞれ人生の転機を迎えては新しい世界へと旅立っていきます。
日本の長い歴史を見ると、時代により旅立ちの特色がみられ、その時の政権や人々の考え方が、幸福への旅、不幸への旅を決めているようです。個人では、どうにもならない社会からの影響があるようです。
万葉集で見る旅立ちの歌、日本書紀や松尾芭蕉の俳句、どの時代でも人々は、それぞれの喜怒哀楽を通して、自分の人生を必死で歩いています。
現代の若者も中学、高校、専門学校、大学へと、明るい希望を抱いて歩き出す話題が私を元気づけてくれます。
しかし今の私を暗くするニュースは世界各地で勃発している戦争。
この悲劇が毎日、新聞、ラジオ、テレビで詳細に報道されると努力して明るく生きていこうとしている私を暗い気分にさせてしまうのです。
全知全能の神様から「何故人々が殺しあうのか」その理由を直接、聴きたい衝動にかられます。難しい哲学の愛読書を再読するのですが「何故、人々が殺し合いをするのか」答えが見つからず眠れなくなります。
一つだけ勇気づけられた本がでてきました。それは「教皇フランシスコ訪日講話集」で、その本の題名は「すべてのいのちを守るため」でした。どんな理由があっても「人が人を殺してはいけない」ということを子供でもわかる言葉で書かれていました。このいとも単純な考え方を現代の人々が本気で取り組めば戦争は終結するような気がしてきました。政治的な理屈を言わずに、この言葉を理屈ぬきで実践すれば戦争が終わるかもなあ、と子供のように喜んでしまいました。
どんな理由がありましても「人が人を殺してはいけない」。この教皇様の言葉が単純な私に勇気と希望をあたえてくれました。