2月といえば、私には複雑な感情が入りまじった月です。寒くて、暗い。もっとも短い月だけど、重苦しくて長い。なにかとキツイ月です。荒涼としていて、長らく忍耐が重くのしかかる印象と結びつきました。
ところが、この「忍耐」という言葉の鋭さは、もう20年もの間、子どもたちが宮澤賢治の「雨ニモマケズ」を唱えていた時の思い出によって和らげられています。しかも、子どもたちは幼稚園の先生から仕込まれた長崎弁で「雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ」と唱えていたので、思わず笑みがこぼれました。
また私の手帳の暦、2月の頁には、義母アイコと伯父ロバートの誕生日が記されています。昭和2年2月12日と昭和7年2月6日です。これもまた私を暖めてくれます。二人とも2019年に亡くなりましたが、二人には今でも励まされ勇気づけられています。
義母と伯父は普段は穏やかで芯の強い人たちでした。簡素に、でも自分のスタイルをもって生きていました。よく物事を観察し、いろいろと覚えていました。
「丈夫ナカラダヲモチ 慾ハナク 決シテ瞋ラズ イツモシヅカニワラッテヰル」 「ヨクミキキシワカリ ソシテワスレズ......」 この厳寒の2月のただなかにあっても、彼らは忍耐が実りを生むことを私に教えてくれました。
今年の四旬節は2月に始まります。伝統的には40日の忍耐の時を過ごします。復活祭の恵みに導くための祈りと断食、犠牲のときです。
私たちがみな、宮沢賢治の「サウイフモノニ ワタシハナリタイ」といった大志を兼ね備えているわけではありません。それでも、私たちがそれぞれどんな人になりたいかに思いを馳せることはできるのではないでしょうか。
*文中のお義母様のお名前が間違っておりました。以下に訂正いたします。
義母アイコと伯父ロバート とありますのは
義母ケイコと伯父ロバート の間違いです。