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親近感

村田 佳代子

今日の心の糧イメージ

 越年ミサが終わりました。人々は聖堂から信徒会館に移動して温かい飲み物を頂きます。笑顔があふれ、あちこちで『おめでとう!』「あけましておめでとうございます。」と明るい声が上がります。いつもの主日のミサで顔を合わせるメンバーであっても越年ミサでの出会いには特別な親近感があります。外では寺々で打ち鳴らされる除夜の鐘が一定の間隔をおいて高く低くなり続けます。

 親近感とは 文字通り親しさの距離が近くなる感覚です。特別な時間や体験を共有することは親近感を高める機会になります。一緒に緊張したとか一緒に感動したとか助け合ったなどという共通な体験が重なって親近感は強くなります。

 大晦日の深夜という特別な時間に心を合わせ聖歌を歌い共に祈ったという高揚感に、ほっとする甘く温かい飲み物の効果が加わり、私たちは神様の家に集う家族という感覚を共有し、感謝のうちに家路に着くのでした。

 元日のミサは改まった清新な空気の中で与ります。ミサが終わり聖堂を出ると、普段親しい者同士であっても、改まった姿勢で新年の挨拶を交わします。ところが数時間後に初詣の観光客でごった返す街中で再会すると独特の親近感を覚えます。

 初対面であっても、対話の中で出身地や経歴に触れて共通の経験が判明すると相手との距離が一気に近くなり、まるで以前からの友人であるかのように親近感を覚えることがあります。

 遠い昔、大学時代に、あるシスターから「人間同士の出会いに働く聖霊を信じること」と三位一体の神について教えられ、信仰を得ました。日常を振り返ると本当に多くの人に出会い、その中の人々に支えられ助けられたと合点します。

 親近感は聖霊からのサインの一つかもしれません。