聖書には不思議なお話がいくつかありますが、その中に、イエスさまの姿が変わるというお話があります。イエスさまが弟子のペトロ、ヤコブ、そしてヨハネだけを連れて、高い山に登られました。すると、「イエスの姿が彼らの目の前で変わり、服は真っ白に輝き、この世のどんなさらし職人の腕も及ばぬほど白く」なります。(マルコ9・2~3)ペトロをはじめ弟子たちは動揺し、非常に恐れます。すると雲に覆われ、雲の中から声が聞こえます。「これはわたしの愛する子。これに聞け」と。(同 9・7)
この不思議な出来事は、イエスさまに限った出来事ではないと私は思います。私たち一人一人、神さまから造られ、大切な命をいただいています。そして、神さまご自身から一人一人が「愛する子」と言われているのです。イエスさまの服が真っ白に輝いたように、私たち一人一人の命は輝きを持っています。それは、自分では身を守る術を持たない赤ちゃんが、その笑顔をもって周りの人たちを魅了し、笑顔へと変えていくように、私たちの命は本来、周りの人たちを変えていくほどの輝きを持っているのだと思います。
だから、イエスさまは群衆に向かって、「あなたがたは世の光である」(マタイ5・14)とおっしゃったのでしょう。一人一人の命は本来、輝くものだからです。そして、イエスさまはこうおっしゃいます。「あなたがたの光を人々の前に輝かしなさい。人々が、あなたがたの立派な行いを見て、あなたがたの天の父をあがめるようになるためである」。(同 5.16)
私たち一人一人が、自らの持つ命の輝きに気づき、立派に行動して、お互いに助け合い、支え合う生き方を実践していくことができますように。そして、それによって、世界が変えられていきますようにと心から願います。