ご存じかと思いますが、故シスター渡辺和子さんは、一遍の詩によって自分の生き方を変えた経験がありました。
シスター渡辺は、31歳でアメリカの修道院に派遣され、帰国後は岡山市の大学の教授、翌年には学長への就任を命じられます。
36歳の若さで、思いもよらぬ大役を負うことになったのです。
ストレスを溜め、自信喪失になり、修道院を出ようかとまで思いつめていた時に出会ったのが、「置かれた場所で咲きなさい」という、ラインホールド・ニーバーの詩でした。
現状への不平不満に負けて不幸になっていてはいけない。神様からどこに置かれても、そこで自分の花を咲かせ、幸いな人生を送ろうと考えられるようになったのです。
この詩では、「咲く」と「輝く」を同じ意味で使っています。
私たちも、シスター渡辺さんのように、いま居る場で花を咲かせ、輝くことができるでしょう。
土は固く、石でゴツゴツして、根を張るのが難しいかもしれません。嵐や雪やカンカン照りに、葉や茎がさらされることがあるかもしれません。
しかし、水や光や空気を十分に与えられ、根を伸ばし、葉を茂らせ、いずれ花を咲かせ、各々の人生を輝かせることができるでしょう。
いま辛いことが多く、はたして自分に花を咲かせられるのか分からない方も、例外ではありません。
神様に謙遜になって祈れば、きっと助けがあるでしょう。それに過ぎてしまえば、辛かったことは笑い話になったり、他の人を励ます経験にもなったりするのです。
光の部分だけでなく陰の部分があるから美しい絵画になるように、辛さや苦しみがあるから人生は輝くものです。
天国で、人生という絵画を眺めた時に、あの辛さや苦しみも必要だったのだと感謝できるかもしれません。