▲をクリックすると音声で聞こえます。

活かしあう

松浦 信行 神父

今日の心の糧イメージ

 「松浦先生、この前の時の講演と比べて、迫力が大分違いますなあ」と、5年ほど前、神戸バイブルハウスの牧師先生から笑いながら言われたことがあります。

 2ヶ月ぐらいの内に二つの講演を引き受けたのですが、最初はルターの宗教改革の頃の、カトリック側の、特に青年に向けたアプローチで、2回目は聖書の人間的見方を絵本を通して示すことでした。

 私が不得意とする、人前で筋を通して話すことのために、2回とも、色々と調べてずいぶん準備したものでした。むしろ前者の方が、充分準備したものだったかもしれません。

 違いと言えば、前者が色々と歴史書をひもといて、事例を示して説明するのに対して、後者は、直感的に全体像を示すために、絵本を多用したということでした。

 絵本を前にすると私は人が変わったように、子どもだけでなく大人に対しても平然と読み聞かせをします。理論的に言葉を重ねて説明するよりも、「これはこういう感じですね」といった説明の方が得意だということかもしれません。そういった得意な説明の仕方ができるので、絵本に頼って、何度も使うようになりました。

 それを見た同僚から「松浦さん、このテーマを子どもたちに話すためにはどんな絵本がありますか?」と問われるようになって、私もすぐに「これとこれ、良いですよ」と答えています。そしてその人が、上手く絵本を活かして仕事を成し遂げると、自分のことのように嬉しくなるのです。だから、この頃は「絵本大使」と名乗って、絵本が持っている力を人々が活用してくれるように、お勧めしています。

 絵本が私の話を活かしてくれるだけでなく、他の人の活動をも活かしていることをとても嬉しく思っています。