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活かしあう

竹内 修一 神父

今日の心の糧イメージ

 私たちの身体は、一つの受精卵から始まります。最初に生まれる臓器は、心臓。その後肝臓をはじめさまざまな臓器が形成され、各細胞がメッセージ物質を交わし合う、と言われます。さらに、お母さんと胎内の赤ちゃんとの間でも、メッセージ物質が交わされます。それは、一つの対話です。このプロセスによって、お母さんは酸素と栄養を赤ちゃんに与え、それによって赤ちゃんは成長します。これは実に精巧な、それゆえ神秘的とも言える出来事です。

 このように、いのちの誕生と成長は、その初めから対話によって成り立っていることがわかります。お母さんの語りかける一つひとつの優しい言葉、それによって赤ちゃんは、育まれます。

 優しい言葉による対話――その大切さは、生まれた後も変わりません。自分が大切にしている言葉――それによって、私たちは、形造られます。

 「人の口は、心からあふれ出ることを語る」。(ルカ6・45)

 時に私たちは、同じ口で神を賛美しながら、人を呪うことも経験します。しかし、良い言葉であっても悪い言葉であっても、もし心の中になければ、それが口をついて出て来ることはないでしょう。だったら、一つでも良い言葉を養い育て、悪い言葉は取り出していきたい、と思います。

 「人はパンだけで生きるのではなく、主の口から出るすべての言葉によって生きる」(参 申命記8・3)と語られます。この言葉によって天地万物は造られ、まさにその言葉の中にいのちがある、とヨハネは語ります。(参 1・3~4)

 いのちの言葉を交わし合うこと、それが私たちの生き方であってほしい、とそう願います。それゆえ私たちは、こう勧められます。

――「キリストの言葉があなたがたの内に豊かに宿るようにしなさい」(コロサイ3・16)