小学生の二人の男の子が、競り合いながら教室へ駆け込んでいきます。二人は、相手の一挙手一投足が気になってしかたがありません。一人が走り出せば、もう一人も走り出します。一人が立ち止まって空を見上げれば、もう一人も見上げるといった具合です。
お互いに相手を意識し、小突きあったり、笑い合ったり、ふざけ合ったりしながら、刺激し合っているのがよくわかります。
二人はとても仲良しのライバルです。お互いにエネルギーを与え合う仲間です。ですから、一人がいないと、もう一人も、そこにいてもまるでいない人のようになります。地球と月も、引き合わなければ今のようには動きません。相手がいるから、お互いに何倍もの活力がみなぎってきます。
ところで、それとは少し違うエネルギーのもらい方を経験しました。昔、約10キロのマラソン大会に参加したときのことです。
初めは調子がよかったのですが、5キロを過ぎたあたりから息が上がり始め、走るのがきつくなってきました。前にも後ろにも誰もいなくなり、もうよかろう、ようがんばった、もう歩いてもいいかなと思ったその瞬間、その頃ガンの治療で辛い思いをしていた友人が出発前に応援の言葉をくれたのを思い出しました。怖れを抱えながらも懸命に病気に立ち向かっているその人の笑顔が目に浮かんできて、快復を祈りながら走り続けました。結果、一度も立ち止まることなくゴールまで走り抜くことができました。感謝の気持ちに満たされて帰り、翌日その友人に報告しました。友人は一緒に喜んでくれて、その後、さいわい体調も徐々によくなっていきました。
独りじゃないということがわかるとき、身体と心に自分だけのものではない思いと力があふれてきます。