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ひらめき

湯川 千恵子

今日の心の糧イメージ

 「ひらめく」を広辞苑でひくと、「光が忽ち輝き、忽ち消える」「思いつきなどが瞬間的に頭に浮かぶ」とある。

 ニュートンがリンゴの落ちるのをみて万有引力を発見した話は有名だが、その生涯を調べてみた。

 イギリスの農園が彼の生誕地。誕生前に父は病死。未熟児で生まれ、育たないだろうと言われた。三歳の時母が再婚。祖母に引き取られた。

 何だか私の誕生時や幼児期と似ている。

 両親のいない寂しい気持で星空を眺め、宇宙の神秘を感じたりした子ども時代の私にニュートン少年を勝手に重ねて想像し、親しみを持った。

 彼は全ての事象の奥にある真理を知りたいという知的好奇心で科学者の道を歩み、23歳の時学士号を得たが、ペストの大流行で2年間大学は閉鎖され故郷に引き籠もった。その逆境が彼の天才的科学者の才能をひき出したのだ。

 リンゴの木陰で休んでいた彼の目の前に真っ赤なリンゴが落ちてきた。その瞬間、全ての物体間に作用する万有引力の原理が閃いた。いつも考えていたからだ。数学の様々な解析法もこの短期間に発見し、後の光学・力学・物理学・更に天文学や哲学の基礎なども築いている。

 彼のことをネットで調べているうちにイギリスの詩人アレキサンダー・ポープの有名な2行詩を見つけた。

【自然と自然の法則は闇の中に隠されている。ニュートンよ、来れ、と神が告げた。すると全てが明るみに出た。】

 ニュートンは万物を創った神を崇拝していた。神もそんなニュートンを愛し、ご自分の創造物の深遠な仕組みを彼に悟らせたのではないだろうか。

 神は偉大な天才だけでなく、私たち小さな弱い者たちにも良い思いつきを与え、励ましてくださっている。

 神の静かな愛のお働きに気づき、毎日を感謝して過ごしたいものである。