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ひらめき

三宮 麻由子

今日の心の糧イメージ

 聖書で印象的な言葉に、「思い悩まず神様に委ねなさい」という内容のものが多くあります。私には、考えても分からないときには神様が教えてくださるのを待ちましょう、というメッセージに感じられます。

 特に原稿を書くとき、この言葉の意味をしばしば実感します。一所懸命考えたり調べたりしてもうまくいかないときは、「温める」作業として、一度原稿から離れて頭を自由にします。旅に出る、普段と違うことをするなどして発想が広がるのを待つのです。一度書き上げた原稿を提出する前に、少し時間をおいて読み返すことも必ず行ないます。足りなかったことや新しい発想が生まれて、より良い仕上がりにできる可能性が出るからです。最初の案はもちろん「閃き」といえますが、「温め」から生まれる新たなアイデアもまた、閃きでしょう。温めは、あがきながら何かをひねり出すだけでなく、神に委ねる、と腹をくくる行動ともいえます。

 日常の範囲で私が閃きを得ることが多いのは、ピアノを弾いているときと、人と話しているとき、そして料理しているときです。ピアノは、練習でなく自由に弾いているとき。料理はレシピ通りでなく自分のアイデアを試しているとき。人と話すとは、打ち合わせだけでなく、友達など仕事と無関係な相手とおしゃべりしているときです。

 突然「あ、これだ」と閃くので内心びっくりしたりもします。

 俳句の世界では、一句できたとき「句を授かった」といいます。これも閃きの一種です。

 特に天啓と思える閃きを感じたら、それはまさに、「神の声」なのでしょう。「いつも目覚めていなさい」とのイエスの教えは、閃きを逃さない知恵でもあるのかもしれません。