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ふれあい

湯川 千恵子

今日の心の糧イメージ

 私の住んでいる街では年に6回「学区内ふれあい食事会」が行われていた。一人住まいの高齢者が、民生委員やボランティアの手作り料理を自由におしゃべりしながら200円の会費でいただく食事会だ。私も友人と参加して楽しんでいた。

 ところが新型コロナ禍で2年あまり中止。それが去年の暮れから半分再開された。手料理から「地域の仕出し屋弁当持ち帰り」になったが、80人余りの参加者とマスクのままでも会釈できて嬉しかった。学区長や警察官から、高齢者を狙う特殊詐欺の防ぎ方を教わった。

 こまめに窓を開閉して空気を入れ替えたり、熱いお茶を淹れてくださる方々の奉仕の心が伝わって感謝の「ひと刻」だった。

 自由におしゃべりしながら食事を楽しむなんて事は、家族でも、友人とでも、また社会や人生の大きなイベント、結婚式や入学・卒業などで当たり前にあった事。それが実は人生を豊かにする大切な事だったと気づかされた。日常生活の中に当たり前にあったこの幸せなひと刻。

 それがコロナ禍や人道に反する戦争で、また、大震災で住む家も愛する家族も仕事も一瞬に失い、今日生きる術も未来への希望も失った膨大な被災者を想うと、「神様、どうして?」と言いたくなる。

 しかし天を仰いで手を合わせていると、この悲惨極まりない現実の上にイエス様の平和の光が静かに輝いているのが見えた気がした。その光は公平に全ての人を慈しみ深く包み、照らしている...。

 30年前、夫のがん闘病末期にイエス様に祈ると不思議に慰められ、愛と力に満たされて前に踏み出す勇気を頂いたあの日々を思い出した。困難な状況が不思議に善くなっていった事も。

 人生に行き詰まったらイエス様に祈ろう。いのちのお導きを願って。