ある障がい児施設に勤めていたときのことです。
小学2年生の男子を学校まで迎えに行った車中で、その子からドキリとするようなことを聞かれました。
「先生、この仕事、面倒くさくない?」この質問をきっかけに普段はできない話ができました。
「うん、面倒くさいよ。仕事って、面倒くさいものなんだよ。でも、楽しいときも面白いときも嬉しいときもあるものなんだ」
「ふーん」
「どうして大人が仕事をすると思う?」「どうして?」
「それはね、お金をもらって生活するためだよ。お父さんも、仕事をしてるだろ」「うん」
「お父さんも一生懸命仕事をして、それで家族が生活できるんだ」
「そっか。でもお母さんはお金をもらってないよ」
「お母さんもスゴイんだ。お金をもらわなくても、毎日、家族のために面倒でもご飯を作ってくれたり、掃除をしてくれたり、洗濯をしてくれたり、いろんなことをしてくれてるだろ」「そうだね」
「どうして、お母さんたちがそんなに面倒なことをやってくれてると思う?たぶんね、家族みんなが大好きだからだよ。家族のために何かしてあげたいんだよ」「ふーん」
「だから仕事ってね、面倒だけど、いいことがいっぱいあるんだ。自分の仕事で誰かが喜んでくれると、嬉しいし楽しいし面白いんだ」
その後、彼は相変わらず教室では、衝動的に行動したり、嫌なことはボイコットしたりでしたが、ある記念日に、家族あてに手紙を作ったときは、一所懸命でした。
紙で作った赤いハートマークをたくさん貼り付けながら「いつもありがとう」「大すき」と何度も書いて手紙を作り上げていました。
きっと神様は、人間同士のふれあいを通して、私たちを祝福してくださるのです。