公園の歩道を歩いて来た二人の女性が、何か硬直した姿で、足を止めたのが伝わってきました。私は姿勢を直して弁解調で、一生懸命安心して貰おうとしていました。
と言うのは、新型コロナパンディミックの中で、以前より散歩をするように成った私は、親しみやすい不思議な場所を発見したのです。公園内歩道脇の桜の古木の幹に、小さな洞状の窪みがあるのです。病院で検査をする時、CTとかMRIの頭を入れるドーナツ型の窪みに似ています。誰も見ていない時、背中から古木に寄りかかりその窪みに後頭部を入れるのです。少し硬さを感じますが、段々慣れると苦になりません。
そのうちに、木の中を流れる樹液の音が聴こえてくる様な感じがします。同時に頭皮・頭蓋骨の内の血液などの流れの音も聴こえる様な感じがします。多分聴診器で聴いたら木の中と人体の中の流れの音が聴こえるでしょう。その内に二つの流れの音がお互いの流れの音に合わせたり寄り添ったり不思議な調整をしているように感じます。少しごつごつしていた窪みも居心地の良い触れ合いの場に成っていきます。植物と動物がその内面の流れの響き合いを創る出しているかのようです。ふと頭の疲れや気分のしこりが溶け出した感じです。
怪訝な顔で立ち止まっているお二人に説明したのですが、「そうですか」と顔の硬直を緩めずに、足早に立ち去られました。無理もないです、唐突で不躾な行動ですからね。
でも確かに木と人体の触れ合うところに、植物と動物の接するところに、違いの境を解いて、和みを創る和解のゾーン(領域)が展開するのを感じます。端っこと端っこ、違いと違いの触れ合うところに「いごこち」の良さの感性を磨いていきたいです。