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いごこち

シスター 山本 久美子

今日の心の糧イメージ

 学生時代、一人の友人が、つきあっていた彼について「彼といる時、私は一番自分らしく、自然体でいられるから、結婚することにした」と分かち合ってくれ、印象に残りました。彼女にとって、その人は「居心地の良い」人なのだと思いました。今も思い出す度に、私は彼女らの幸せを自然に祈っています。

 彼女の話で、もう一つ印象に残っているエピソードがあります。ある日、電車の窓に映っていた自分の顔の輝きに気づき、その時、一緒にいた相手の存在の大きさとその人への思いを初めて確認したというものです。

 この二つのエピソードを通して、私は、私にとって、無理がなく落ち着ける、自分自身でいられる関係性、自分の居場所としての居心地の良さが特に大切なあり方なのだとあらためて気づかされました。

 結婚を決めた友人は、相手の人について、「一度会ったら決して忘れられない人だから、多分知っている」と私に紹介してくれました。彼女の言う通り、とにかくユニークで面白い人で、私も知っている人でしたが、私にはどうも相性が合わないタイプという印象があり、彼女の思いを理解できませんでした。しかし、ふり返ってみると、ぱっと見の外見だけで判断し、私には人を見る目がなかったと感じます。

 「居心地」というのは、それぞれの感性や人生背景に大いに依存し、「人によって様々」だと思います。しかし、自分が自分であること、自分の感性や味わいに正直であること、自分にとっても相手にとっても居心地の良い環境を共に築く姿勢が大切だと思います。

 人生の大きな選択であればなおさら、客観的な良し悪しよりも、互いに自然体で認め合い、満たし合う関係性を構築する「居心地」が大切なのではないでしょうか。