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生きがい

三宮 麻由子

今日の心の糧イメージ

 辞書を要約すると、生き甲斐とは、人生の根幹となる考え方が活動や生活の中で形として現れるもの、といった解釈になると思います。

 さて、では私の生き甲斐は?と自問してみて、びっくりしました。あれも、これも、それも・・・。と一つに決められなかったのです。

 エッセイストの私にとって、エッセイを書くことは生き甲斐です。これはライフワークでもあります。一方で、仕事ではないという意味で趣味と分類されるピアノ演奏や俳句も生き甲斐です。これらは、ときには講演や講義などの仕事に組み込まれることもあり、仕事と趣味の両方の生き甲斐として作用しています。

 人生を支えるという意味では、鳥の声を聞きに出かけたり自然と触れ合ったりすることも、単なる余暇にとどまらず、人生の土台となる生き甲斐といえます。

 こう考えると、人生の根幹を成す行動や目標が多ければ多いほど、生き甲斐の幅が広がることになる気がします。一つの生き甲斐に邁進するのも良し、いくつもの生き甲斐を持って多彩に活動するのも良し。活動範囲や時間のバランスによって、それぞれの活動が人生に占める割合を、私は「生き甲斐度」と呼べるように思います。「生き甲斐度」が低くてもその存在が大切なことに変わりはなく、また、いくつあっても良いでしょう。何かの事情で一つの生き甲斐と関われなくなった場合、ほかにも生き甲斐があれば突破口が見つけ易くなるかもしれません。環境が変わり、無意識だった生き甲斐が意識されることもあるでしょう。

 こうして、「生き甲斐度」にかかわらず、好きなこと、大切にしたいことを意識すると、人生に一本の芯が通ります。この芯が、生き甲斐の本質なのかもしれません。