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生きがい

森田 直樹 神父

今日の心の糧イメージ

 学校や幼稚園などでお話を頼まれる時に、よくテーマに挙げられるのが、次の聖書の個所です。

 「あなたがたは地の塩である。...あなたがたは世の光である。」(マタイ5・13、14)

 この聖書の個所から、そこに集う子どもたち一人一人が、地の塩、世の光なのだ、というお話をします。一人一人の力は小さくても、弱くても、それでもとても大切な塩、大切な光なのだ、と語るのです。一人一人の力や存在は確かに小さなものです。しかしながら、それは人々を力づける大切な塩や世界を照らす光となっていく可能性を秘めています。

 聖書は続けて語ります。

 「山の上にある町は、隠れることができない。また、ともし火をともして升の下に置く者はいない。燭台の上に置く。そうすれば、家の中のものすべてを照らすのである。そのように、あなたがたの光を人々の前に輝かしなさい。人々が、あなたがたの立派な行いを見て、あなたがたの天の父をあがめるようになるためである。」(マタイ5・14~16)

 このように、一人一人の光を輝かせなさい、と聖書は教えてくれます。たとえ世界が苦しみや悲しみに満ちていたとしても、たとえ自分の目の前に大きな壁が立ちはだかっていたとしても、自分自身の持っている命の光を人々に輝かせるのです。それは、自分自身のためではなく、周りの人たちのことを考え、周りの人たちのことを思いやって差し伸べる手、出向いていく足なのだと思います。

 これを「隣人愛」と呼びます。困っている人、苦しんでいる人、助けを求めている人、これらすべての人に自分自身が手を差し伸べ、何らかの支えとなることができるのです。先ほどの聖書が語る「立派な行い」です。そして、これこそが消えることのない「生きがい」なのだと私は思います。