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渇き

林 尚志 神父

今日の心の糧イメージ

 寒い時には余りないのですが、夜、布団に入ってから、あっしまった、今日も水あげてない、と気付くことがあります。庭の植木や鉢植にです一昨日夜帰宅した時、水を欲しそうな植木を見て、後であげるからね、と心の中で言ってたのに忘れました。昨夜も、これまた忘れました。紙に書いて玄関に張っておけば良かったのに。

 明日の朝で良いか・・。しかし日が上がると葉が焼ける事があるし。パジャマのまま、私の場合は四階から降りていって、ホースを引っ張って蛇口にしっかり付けて、夜中の水遣りです。

 節水が頼まれている時は、遠慮するように撒きます。半時間ぐらいはかかり、パジャマの裾や袖口を濡らして撒き終え、それでほっとしてまた寝床に潜り込みます。

 植物は水をくれと言えないし、動いて水場を探せないし、身近に植物を置いた人間の責任です。

 人間の営みで、特に長年の様々な開発事業の結果、気候変動も起こり干ばつ問題が地球を覆っています。大地も植物も動物も水を求めて渇きを訴えています。さらに気候変動による災害、戦争による環境破壊と多くの人々が難民化する移動で、水が乏しい、しかも清潔な水に渇く状況に追い込まれています。

 「誰もいないなら私が行く、誰もしないなら私がする」と渇いた大地に水を引き、植林、農耕、働く人々に仕事をもたらした「渇きからの救い人」中村哲医師を失ってからも3年以上が経ちます。其の遺志と働きは様々な方法で続けられてますが、比較的水の豊かな日本に生きている私達は、自分達の生活の中で、水を大切にし、地球上の渇く人々をいかに助けるかを共通課題としたいですね。

 水を分け与えたいという思いに渇く人として、今日も寝床から起き上がりたいです。