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委ねる

崔 友本枝

今日の心の糧イメージ

 「委ねる」という言葉を聞くと、飛行機に乗って離陸する瞬間がまっ先に思い浮かびます。離陸のときは、神さまに命を委ねる気持ちになります。しかし神さまは、私たちが、「どうにもならない状況だから」、と身を委ねるのではなく、毎日神を信頼し、意識的に自分の人生の一コマ一コマを委ねることを求めておられます。

 聖書には「何よりもまず、神の国と神の義を求めなさい。そうすればこれらのものはみな加えて与えられる」(マタイ6・33)とあります。問題にぶつかるとき、自分の力で何とかしようともがくのではなく、いったん手を離して脇に置き、祈りを第一にしなさい、というのです。自分の思いや考えを手放し、すべてを委ねて神さまとの親しい関わり、「祈り」を大切にすると、神さまの愛を受けとる「場」が心に出来ます。そうなると神が自由に働かれるのでうまくいくのです。このことを最近も体験しました。

 数ヶ月前、母がガンであると判明しました。医者は、母が高齢であるため、ガンを取り除く手術をせず、人工肛門にする以外ない、と早々と結論を出しました。母も私も不安になりました。私はこの問題をいったん脇に置き、神さまのお望みを聞くために数日祈りました。心の中に、「自由に選ぶ」のが神の道で「これしか方法がない」、という息が詰まるような道は神のなさり方ではない、という思いが浮かびました。

 私は、母が手術を希望していることを改めて医者に告げることにしました。すると、複数のスタッフでもう一度検討することになり、摘出手術を受けることが決まったのです。手術は成功しました。

 神さまは、信頼し、委ね、祈るとき、いつもよい答を出してくださいます。