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共存共栄

シスター 萩原 久美子

今日の心の糧イメージ

 神様が世界を創造されたとき、創られたすべてのものを見て「良し」とされました。そして創られたすべてのものに対して「産めよ増えよ」と祝福を与えられたのです。(参 創世記1章)神様に「良いもの」として創られたすべてのものが共にあって共に栄えること。それは神様の何よりの望みです。

 しかし現代社会に目を向けてみると、お互いに優劣をつけ合い、他者の繁栄をねたんだり、「良いもの」と「悪いもの」、「栄えるもの」と「衰えるもの」と、何かと何かを比べてみることで、自分の存在価値や権威を確認するような社会になってきています。

 私たちは、神様が望まれた、共にあって共に栄える世界を築くことはできないのでしょうか。

 童謡詩人 金子みすゞさんの『私と小鳥と鈴と』という作品の一節に「みんな違ってみんないい」ということばがあります。私も小鳥も鈴もそれぞれ出来ることが違います。その違いは、それぞれの個性であり、役割でもあるのでしょう。また私が持っていないものを小鳥や鈴が持っていることで、そこに豊かさが生まれます。

 私たち一人ひとりは、性格や好み、気質も何もかも違う人間です。

 でも一つだけ同じことがあります。それは、みな「良いもの」として神様に創られたということ、「みんな大切」だということです。

 私たちが互いの違いを超えて共に在るためには、それぞれの良さを認め合い、尊敬しあうことが大事なのではないかと思います。そこに交わりも生まれてくるのでしょう。神様が望まれる共存共栄のありかたは、共に交わりながら生きるということではないかと思います。

 交わりから生まれる豊かさこそが、自分と相手を生かし、共に栄えていく力になるのではないかと思います。