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喜びの日

堀 妙子

今日の心の糧イメージ

 クリスマスは、神のおん独り子イエスさまが、地球上に住むすべての人びとに愛を告げ知らせるために誕生したことを祝う日。

 ベツレヘムの貧しい馬小屋の飼い葉桶に、この幼な子は寝かされている。マリアさまとヨセフさまが幼な子を見守り、牛や馬が暖房の代わりとなってあたためている。この誕生を天使から告げられた羊飼いたちは、幼な子イエスさまをひと目見ようとやってくる。東の国から3人の王様も贈り物を携えて拝みに来る。

 クリスマスの喜びを表すために、私たちはこの時期、贈り物を交換する。街には色とりどりのイルミネーションが輝き、人びとは相手を思い、贈り物を選ぶ。

 そんな時、私はある宣教師から聞いた、司祭と物乞いの話が心に浮かぶ。ある村の司祭館の窓辺に毎日、物乞いがやって来て、司祭から幾ばくかのお金と食べ物の施しを受ける。司祭も必要な分を物乞いに与え、物乞いも感謝をしてもらって帰る。これがずっと続き、やがて司祭も物乞いも天に召された。この話には後日談があって、彼らは聖人になったという。私は司祭が聖人になったのかと思ったら、物乞いも聖人になったのだそうだ。

 私たちは贈り物をする時、相手にも見返りを期待することがある。また、何か贈り物をもらえば、すぐにお返しをと気をもみ、ラケットでサーブを打ち返すように、何かを買ってお返しをしてしまうことがある。

 司祭と物乞いの両者が聖人になったのはなぜだろう?それはお互いがかけがえのない真の友になったから...。クリスマスには、飼い葉桶にスヤスヤと眠るいのちの贈り物に、「この喜びの日、真の愛を私にください」と、かの物乞いのように明るく清い心で、毎日のように愛をもらいに行きたいと願う。