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喜びの日

中野 健一郎 神父

今日の心の糧イメージ

 「きみは愛されるため生まれた...」。クリスマスが近づくと、イ・ミンソプ作詞作曲の、韓国生まれのこの歌が脳裏に浮かび、思わず口ずさみます。歌はこう呼びかけます。「きみの存在がわたしには、どれ程大きな喜びでしょう」。

 クリスマスは、救い主である神の子が人間となり、いつもともにいてくださる方となったことを祝う、喜びの日です。この喜びのメッセージは当時、社会の底辺で蔑まれていた羊飼いたちに真っ先に告げられたことが、ルカ福音書に記されています。悲しむ人も、罪人も、どんな人もすべて、神さまにとっては、常に大切にされ、愛されるべき存在です。

 私にとって、クリスマスの喜ばしい子どもの頃の思い出をあげるなら、クリスマスイブの夜11時のミサで、眠気や寒さと戦いながら、毎年、祭壇で仕える侍者をしたことです。ミサ後の修道士さんやシスターの特別のプレゼント、パーティーも楽しかったです。

 でも私にとって何より嬉しかったのは、クリスマスイブに、その時中学生の弟も、ミサの侍者をさせていただいたことです。障害を持ち、偏見も受けがちな弟を、教会の方々は温かく見守り、受け入れてくださいました。

 ヘンリ・ナウエンという神父様は、重度の障害を持つ青年「アダム」をお世話した体験を、著書に著しています。アダムはてんかん持ちで、体が不自由でものが言えず、食事も入浴も何もかも、介護が必要です。でもアダムに出会った人はなぜか皆、安らぎを得、癒されていきます。アダムは人々に平和をもたらす貴重な存在であり、ナウエン神父は彼の無力な姿の中に「幼な子イエスさま」の姿を見つけます。

 お互いの尊さに気づき、喜び合うクリスマスを過ごすことができますように。