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喜びの日

片柳 弘史 神父

今日の心の糧イメージ

 聖書には、クリスマスに先立つ一つの出来事として、イエスを身ごもった聖母マリアが親戚のエリサベトを訪問する場面が描かれている。(参 ルカ1・39~47)

 二人が出会ったとき、エリサベトは「私の主のお母様が私のところに来てくださるとは、何ということでしょう」と言って喜び、マリアは、神が「身分の低い、この主の仕え女にも目を留めてくださった」と言って喜んだ。この二人の喜びに共通しているのは、「こんなわたしに、神さまがこれほどの恵みをあたえてくださった」という感謝だ。まったく自分を誇ることのない謙虚な心から生まれる感謝の喜び、それがクリスマスの喜びの特徴だと言ってよいだろう。

 「弱くて欠点だらけのわたしを神があわれみ、恵みを与えてくださった」という感謝の喜びには、「自分の手で何かを成し遂げた」という達成の喜びにはない力がある。それは、愛の力だ。

 神さまの慈しみによって、あるいは家族や友人たちの支えによって大きな恵みが与えられたと気づくとき、わたしたちの心は、神さまへの愛、家族や友人たちへの愛で満たされる。その愛は心に深く刻まれ、いつまでも消えることがない。思い出すたびに喜びが湧き上がり、その喜びはわたしたちに生きる力を与えてくれる。わたしたちの心に深く刻まれて、人生を支える宝となる喜び。クリスマスに与えられる喜びとは、そのような喜びなのだ。

 イエス・キリストが誕生したこと、すばらしい家族や友人を与えられたこと、いまここでこの場所に生かされていること、すべての恵みを感謝して受け取り、心に深く刻みつけたい。そのとき生まれる愛こそ、わたしたちが受け取る、何よりのクリスマス・プレゼントになるだろう。