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ときめき

西田 仁

今日の心の糧イメージ

 最近、23年間乗り続けてきた自動二輪車を手放す事を決断をしました。

 高校生の時から憧れていた国産メーカーの自動二輪車を大学卒業して直ぐに購入しました。ずっと大切に乗り、メーカー直営のガレージで修理や車検をお願いしていました。15年くらい経った頃から車検の時に新車に買い替える事を勧められるようになりました。愛着があるので、費用がかさんでも良いから修理をお願いしますと伝えるも、年々対応が悪くなり、ついに今年は「手が足りないので、うちでは車検を出来ない。」と言われ、他の直営店を紹介されました。紹介されたお店に連絡してもやはり年式を伝えると、「お受けできない」といわれ、結局車検に出せず、手放す事になりました。

 私は古いモノが大好きです。効率だけを追求して、新しいものの方が安く済むと言う理由で今まで使って来たモノを買い替えるというのは何か寂しい気持ちになります。

 車についても、私は現在ご縁があって、1951年式と1965年式の欧州車を日常使いとして、使っています。頻繁に故障し、何かと手がかかりますが、驚いたことに、この2台は殆どの部品が未だに手に入ります。どうしても手に入らないものは工夫して対応してくださいます。

 こうして代々、色々な人の想いによって今に至るまで大事に伝えられているモノに出会う時に、私はこの歳になってもときめきを覚えます。

 今回、あまりにも対照的だった国産メーカーと欧州メーカーの違いに触れ、作り手、継承する使い手の想いが伝わる、そんな文化もどこかに少し残す事が出来れば良いなと、私の子供達が私が去った後にときめいてくれるようなモノを、少しは残す事が出来れば良いなと思いました。