何か新しい事が起きそうな時、初めて訪れる所へ向かう時、これから良い事や楽しいことが期待出来る時、心がときめきます。若い頃は初めての体験の前は何となくそわそわし、好奇心も手伝って、素直に心がときめいていたように感じますし、歳を重ねた今も、喜びや感謝を感じた時、また、初物を口にする時や初対面の人との出会いにはときめきます。
ところがここ数年で、人々が余り感情を表さず、素直に心のときめきを認めず、疑い深く沈黙する傾向になったように見えます。皆がスマホを持つことで何時でも何処でも検索・確認出来、想像力や期待感が薄くなり、ときめき感への反応が鈍くなったのではと思います。
小学校・中学校がデジタル教科書の使用に踏み切るとの報道がありましたが、新学期に新しい教科書のページをめくる時のときめきが、子供たちの体験から失われてしまうのでしょうか。
一方、「ときめき」という言葉には「今をときめく人気スター」というような使い方もありますが、こちらも現代ではまるで死語になってしまったかのようです。デビューしてすぐ人気者になっても、SNSで噂が拡散し、大物に育つ前に芸能界の都合で使い捨てになるタレントが多く、昭和の時代に伝説の大スターと言われたような、今を時めく人物はいなくなりました。
外出してみると、乗り物の中や飲食店の中は当然のこと、街角でも信号待ちの数秒でさえ、スマホをいじり続ける人たちを見てうんざりです。イヤホンを付けっぱなしの人もいます。
時代が急速に変化を遂げる中で、逆に、小さなことでも自分にとっては初体験という事柄が多くなった私、高齢者の方がいつまでもときめく心を失わずにいられることに感謝です。