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ときめき

竹内 修一 神父

今日の心の糧イメージ

 人は、良くも悪くも、変わります。もちろん、できることなら、いい方に変わりたい、と思います。そんな私たちに、神は、尋ねます――「あなたは、どんな人になりたいのか。」しかし、具体的な姿は浮かびません。それでも、漠然と思うのは、今より優しい人になりたい――これが、素朴な願いです。

 パウロは、かつて、サウロと言われていた頃、非の打ちどころのないユダヤ人でした。しかし、優しい人ではありませんでした。「サウロは家から家へと押し入って教会を荒らし、男女を問わず引き出して牢に送っていた」。(使徒言行録8・3)その時、彼の心は、ワクワクしていたでしょう。

 しかし彼は、ある体験をします――回心。ダマスコへの途上、彼は、突然天からの光に打たれ、目が見えなくなります。と同時に、天からの声を聴きます――「サウル、サウル、なぜ、わたしを迫害するのか」。(同9・4)
 神は、彼にこう呼びかけます――「〔あなたは〕わたしが選んだ器である」(参 同9・15)

 サウロは、新たな人へと変えられました。それは彼にとって、驚きであり、戸惑いでありましたが、ときめきでもありました。

 パウロの言葉を通して、アウグスティヌスは、イエスと出会います。ある時彼は、次のような声を聞きます――「取って読め、取って読め。」そこで、彼が聖書を開くと、次のような言葉に出会います。

 「眠りから覚めるべき時が既に来ています。......。闇の行いを脱ぎ捨てて光の武具を身に着けましょう。日中を歩むように、品位をもって歩もうではありませんか。......主イエス・キリストを身にまといなさい」。(参 ローマ13・11~14)

 彼の回心です。新たな人へと変えられました。