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ときめき

林 尚志 神父

今日の心の糧イメージ

 私達が「ヒロシマ」と呼んでいる、8月6日に近い土曜日にある「市民平和ウォーク」。この決め事は、もう40年近くこの街の年中行事になっています。毎年、この平和ウォークに参加することに、私の心はときめきます。

 77年前、ヒロシマ・ナガサキ原爆投下の悲惨な地獄絵の記録フイルムを、10フィートずつ米国から買い戻した「10フィート映画」を上映する下関市民の会主催です。この映画に向き合う市民の生き方・行動です。

 前世紀の末、冷戦時代の頂点に、大型核兵器を使用する相互不信と恐れの中で世界が異様な緊張状態にあった頃、もう一度平和を求める原点に立ち返ろうとの願いを込めて、みんなで意思表示をして、呼びかけたウォーク(平和行進)です。最近は平和への思いの表現方法も違ってか、参加人数は少なくなりました。でも全国・世界的視野での連帯のイメージは力強いです。

 それにちょっと違うかもしれませんが、普段の車の動きを止める、勿論警察の許可や規制もあり、安全に配慮しますが、車社会の時代に車道に出てみんなで歩くことにも「ときめき」を感じるのです。

 批判はありますし、実際他の市民生活に少し迷惑をかける点はあるでしょうけど、一年に一度、8月に車道で、2千年を越える叫び「剣は鍬に槍は鎌になり、国は国に向って戦いを挑まず、民は再び戦を学ばない。ヤコブの家よ、神の光の内に歩もう」を呼びかける「ときめき」です。(参 イザヤ2・4~5)

 今、世界が核兵器使用の"脅かし不安"に揺さぶられる時、私達をいつも思考停止にさせる「生活が掛かっている。現実の文明・技術手段を止められない」という時代の流れの中で、何が大切なのか何が出来るのかを問い直す「ときめき」を感じるのです。