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ときめき

三宮 麻由子

今日の心の糧イメージ

 いま住んでいる家に引っ越して数年過ごすうちに、楽しい発見をしました。ある季節、ある時間に、とても良い声の小鳥が来て囀るのです。声の質から考えてセグロセキレイではないかと思いますが、都会にイソヒヨドリが来ているとの情報もあり、「もしかして?」と、それこそときめいてしまいます。音の図鑑で聞いてみたり、鳥の研究をしている友人に録音して送ってみたりしましたが判別が難しく、どちらかはまだ分かっていません。

 そこで私は、この小鳥に「いい声の子ちゃん」と名前を付けて、声が聞けるとそっと喜んでいるのです。この小鳥が来るのは、4月から5月と、8月から9月の、やや曇天の朝と夕方。電線やアンテナなど高さのある開けた場所で鳴くらしいのに加え、適度に低い声が入るので、周りの建物によく反響して遠くまで響きます。地上約60メートルの我が家からも、かなり近く聞こえます。小鳥の寿命は短いので、おそらく来る個体はほぼ毎年違うのでしょうが、その「いい声」ぶりは変わりません。よく響く場所で気持ち良さそうに空まで声を放っている小鳥に会えると「きっと大丈夫、元気出していこう」とつぶやいて、歩みだすことができるのです。

 ときめきというと、新しいことへの期待や変化へのドキドキを思い浮かべがちでしょう。しかし私は、このように「定点観測」にときめきをおぼえることがよくあります。日常生活が変化に富んでいないときでも地球は周り、季節は移ろい、人や動植物の営みは続いています。

 私たち自身も、そのサイクルの中で日々を紡いでいます。そう感じるとき、神様はきっと、見ていてくださる、と思うのです。私たちと一緒にときめきながら。