▲をクリックすると音声で聞こえます。

挨拶

越前 喜六 神父

今日の心の糧イメージ

 初対面の人と交わろうとすれば、初めにまず挨拶をその国の言葉で言うでしょう。私は50代になった時、大学から在外研究という目的で、予算を貰って、世界を一周したことがあります。

 最初はハワイで、それからアメリカの西海岸のロスアンジェルスやサンフランシスコ、その隣のバークレーに4ヶ月ばかり居て、カリフォルニア大学のバークレー本校と協定している共同神学大学院でしばらく聴講し、それから東海岸まで旅行し、そこからヨーロッパに渡り、ロンドン、ケルン、パリ、マドリッド、ローマ、アテネ、そして東南アジアの諸国を周って帰国しました。

 どこの国でもさまざまな面白い体験をしましたが、そこで一つだけ断言できることは、少なくとも初対面の時に、現地の言葉で挨拶することでした。全世界、英語で通じますよと言われて、あまり心配せず、旅を始めましたが、それは間違いでした。

 ドイツのケルンの大聖堂にある売店で、いろんな小物を買い物して、がっしりした体格の男性店員に、英語で「How much」と尋ねたら、店員さんが何と答えたと思いますか。私に向って、英語で「馬鹿らしい言語だ」と言ったのです。それは明らかに侮蔑的な言葉でした。後で考えたのですが、ここはドイツで、アメリカではない。だから、ドイツ語で「バス コステット ダス」(これはおいくらですか)と言うべきではなかったかと無智を恥じました。これは挨拶程度の言葉なので、覚えておくべきでした。

 最近は、来日する外国人も多くなりました。昔は、「ハロー」と言われましたが、今は日本語で「こんにちは」と言ってこられるようになりました。これが交流の第一歩だと思うのです。