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挨拶

シスター 山本 久美子

今日の心の糧イメージ

 十字架上の死から復活されたイエスは、婦人たちに現れ、「おはよう」と挨拶されました。(マタイ28.9)新共同訳聖書日本語訳によるものです。おそらく原語のギリシャ語を調べれば、もっと具体的な意味がわかるような気がしますが、なぜ「おはよう」という挨拶の言葉に訳されたのでしょうか。

 私たちは、日常で、一日の始まりや人々と出会い、関わる時、まず挨拶から始めます。そこで思い出されるのは、私が一般企業に入社した時、オリエンテーションで、取引先や来客に対する対応、「挨拶」から学んだことです。意識せずとも、人との関わりの中で、どれだけ挨拶や最初の印象が大切で、印象に残るものなのかと実感しました。

 今も、いろいろな場面で思い出され、私は、挨拶の言葉やその時の雰囲気が人と人とのコミュニケーション、関わりの突破口と思っています。気の合わない人、気まずい思いをした相手とも、心から挨拶を交わすことから関わりは始められ、修正できます。私は、実際にそのような体験もしてきました。

 復活されたイエスが「おはよう」と言われたのは、新しい朝、世界が始まったということを伝えたかったのかもしれません。イエスが亡くなり、希望を失った婦人たちは、闇の中で眠っていたはずですが、イエスは、日常のあいさつで近寄り、婦人たちは眠りから覚め、新しい現実の世界へと招かれたのです。

 私たちも、日ごろ、まだ眠気が取れず、元気が出ない時、笑顔であいさつや優しい言葉をかけられたりすると、不思議な力をもらいます。

 イエスは、今日も私たちに近づき、声をかけられます。今日のイエスの挨拶は、どのような招きなのでしょうか。もっと味わっていきたいものです。