レジリエンス(resilience)――この言葉を聞かれたことは、あるでしょうか。もともとは、物理学で使われていた言葉のようですが、現在では、心理学においてよく語られるそうです。その意味は、「弾力性、回復力、しなやかさ」などです。
私たちは、日々、様々なストレスや困難な状況を経験します。それらに押しつぶされてしまう人もいますが、中には、何とかそれらと折り合いをつけながら、生きている人もいます。その支えとなっているもの、それが、レジリエンスなのでしょう。
ある時、とある高校の修養会に招かれました。帰りかけた時、2~3人の高校生がやって来て、こう質問されました。
「人間の強さって、何でしょうか。」おそらく、「人間として持つべき強さとは何なのか」と聞きたかったのかもしれません。僕も、(何だろう)と思ったのですが、その時、ふと竹の姿が思い浮かびました。
「たぶん、竹のあの強さかもしれないね。ほら、竹は、しなやかにしなうでしょう。雪が降っても折れないで、お日様が照れば、また元のように戻る。人間にも、そのような強さがあればいいかもね。」
竹の強さ――それは、確かに、あの節にあるのでしょう。でも、それだけではありません。節と節との間のあの隙間。あれは、決して意味のない単なる空間ではなく、人間に置き換えるなら、人を受け容れることのできる包容力なのではないか、とそう思います。
レジリエンス――それを持つことは、確かに、簡単ではないでしょう。しかし、もし自分には信頼できる人がいる、あるいは、信頼してくれる人がいる、とそのことに気づくことができるなら、それは可能となるかもしれません。