レジリエンス。聞きなれない単語でしたが最近は頻繁に使われるようになってきました。
復元力、回復力、弾力などを意味しますが、心理学では「しなやかな適応能力」というような意味で使われ、自然災害や人間関係のストレスが多くなった最近の状況では、困難な状況にも関わらず、しなやかに適応してしっかりと生き延びる力が求められていますので、次第にレジリエンスというこの言葉が耳慣れしてきました。
あくまでも心理学用語としての使われ方が主なので、この「しなやかな適応力」は臨床心理士による訓練や治療により身につくもので、人間本来の性格や習性とは異なるという感じがしてしまいます。
教会でお会いする初老のAさんは住所も名前も不明ですが、いつも穏やかな笑顔で、身だしなみも普段着を清潔に着こなして足取り軽やかにミサに現れ、今日は市民会館で講演会とか、音楽堂のチャリティーコンサートとか、必ず次の行き先があり忙しそうに去って行かれます。
ある時私の個展会場に立ち寄り、サインの代わりに「希望は私達を欺くことがありません(ローマ5・5)」と書かれました。「あっ!パウロの書簡の<苦難をも誇りとします。>の箇所ですね」と声掛けをした私に答えて「私は今、生活保護を受ける身ですが、長く清掃員の仕事をしてきました。学問もろくにしないでこの年を迎えた・・支えは聖書の言葉でした。今は毎日費用が掛からない講座や展覧会で楽しく学んでいます。<苦難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生む>この通りだとしみじみ思います。今日もしっかり心の栄養を頂きました。」とおっしゃって退出されました。
信仰を持って生きる事は苦難を希望に変える、正にレジリエンスです。