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松浦 信行 神父

今日の心の糧イメージ

 時間の流れと聞くと、思い出す一つの体験があります。それはもう何十年も前の受験勉強中のことです。

 私は、その頃から神父になりたいなあと思い、神父コースの学校を受験しようとしました。私は理科系で、数学や理科が得意だったのですが、神父コースは文科系だから、「大丈夫かなあ・・」と考えました。それで、試しに一年前に模擬テストを受けました。

 ところが、その結果は散々で、入学可能性は15%以下という最低レベルでした。これは本腰で勉強しないと大変だと、普段余り計画的に勉強しない私でしたが、一念発起して、夏休みは毎日、細切れの勉強時間をメモに取り、それを足して何時間になるかのグラフを付けることにしたのです。ところが、いくら勉強しても成績が上がったような気がしません。

 自己採点でテストをしても、合格圏にはほど遠く、神父になることを諦めかけていました。でもここで投げ出してはいけないと自分に言い聞かせ、夏休みの40日間、グラフをとり続けました。

 そして11月には最終の模擬テストを受けることにしました。それは結果が少しでも上がっていれば、なんとかなるかもといった一縷の望みを持っていたからです。

 ついにその結果が出ました。見るのも恐ろしかったのですが、私はその結果に唖然としました。75%以上合格の可能性だったのです。それはこのまま行けばほぼ合格する圏内でした。最低から最高へと変化したという感覚もありません。まさに狐につままれたような感覚でした。

 そして、試験に合格したのです。地道な努力が、時間を積み重ねれば突然結果に表れるといった体験です。このことは、私の人生の捉え方や物事の歩み方にも影響を及ぼしたのでした。