▲をクリックすると音声で聞こえます。

森田 直樹 神父

今日の心の糧イメージ

 私たちは、時の流れの中で生きています。それは決してさかのぼることのない時の流れです。それは一日、一日と過ぎていくものです。時の流れが速く感じることもありますし、ゆっくり流れると感じることもあります。

 そのような時の流れの日常の中で、さまざまな出来事が起こり、いろんな人たちと私たちは出会っていきます。言い方を変えれば、時の流れの中に「一瞬の出来事」が生じるのです。出来事や出会いという「一瞬の出来事」によって、私たちの日常は左右されていきます。

 時の流れの最中にあっても、「一瞬の出来事」は私たちの日常に影響を与え続けます。「一瞬の出来事」を思い起こすたびにその経験は新たにされ、更新されていきます。

 イエスの弟子たちにとって、「イエスの復活」という「一瞬の出来事」は、それ以降の彼らの生き方を大きく変えていきました。聖書によるとイエスの十字架上での死後、弟子たちは家の戸に鍵をかけて引きこもっていたようです。

 そのような弟子たちのところへ復活したイエスが現れます。

 聖書は伝えます。「そこへ、イエスが来て真ん中に立ち、『あなたがたに平和があるように』と言われた。そう言って、手とわき腹とをお見せになった。弟子たちは、主を見て喜んだ。

 イエスは重ねて言われた。『あなたがたに平和があるように。父がわたしをお遣わしになったように、わたしもあなたがたを遣わす。』」(ヨハネ20・19~21)

 こうして、イエスご自身から派遣された弟子たちは、イエスご自身が伝えられた喜びの知らせを、自らの命を懸けて世界中の人たちに告げ知らせていったのです。

 私たちの心の中でも、「イエスとの出会い」という「一瞬の出来事」が私たちの日常の時を変えようとしています。