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神の慈愛を書き続けて

湯川 千恵子

今日の心の糧イメージ

 ハヤット神父様に「心のともしび」の原稿執筆を依頼された時、私は四人の子育て中で無理と思ったが、神父様のお話を伺っている内に、主婦だから書けることもある気がしてお引き受けしてしまった。禅問答のような課題作文の苦闘が始まった。何度も辞めたいと思ったが、神父様の福音宣教への情熱が私を押しとどめた。苦しい反面、日常の中の小さな喜びを見つけて分かち合う大きな喜びがあり、夫の癌闘病中も書き続けた。

 夫の帰天後、還暦過ぎてアメリカ留学し、勉強の厳しさに執筆を休んだ。するとハヤット神父様から「どうしても書けませんか?」と電話があり、帰国後に書く約束で了承された。

 ある日、ネットでハヤット神父さまの次の文章を見つけた。

 「体の小器官も全体のために必要。社会の仕組みも同じ。だから自分の小さな仕事に誠実であれ」と。

 立派な執筆者が大勢居られるから...と安易に休んだ私は猛反省し、執筆を再開した。

 しかし、大学院に進んで、土日もなくなった。原稿を書く時間がない。悩んで学生相談室に行くと、悩み相談の教授を紹介されて、次のように提案された。

 「あなたはその仕事を続けるべきだ。書いた話を英訳して持ってきたら一学期一単位あげよう」。つまり一年間書き続けると3単位もらえる。それで選択科目が一つ免除される。

 アメリカの大学院で一単位取得の激務を思えばエッセー書きが楽...と言うより「大事な仕事で続けよ」と励まされたので、不思議と原稿が楽に書け、大学院を卒業できた。

 「心のともしび運動」は70周年を迎えた。発足当初の福音宣教の情熱のまま続いている。

 87歳になった老いの日々、変わらぬ神の慈愛を書き続けたいと願っている。。