最近、無欲無私の喜びって、こんな心境なのかなあと感じつつ、少々寂しい気持ちでもあります。といいますのは、この心境は若い頃にはなかった感情だからです。この新しい境地は嬉しくもあり哀しいものでもあります。ああ、いよいよ晩年に入り老境なのかなあ、と思うからです。
若い頃感じたことがないような心の自由が湧き出したので、今、まことに不思議な気分なのです。変なこだわりや今まで信念こそ必要と信じていたものが、かえって心の自由を妨げていたようでもあります。色々の人生での困難に迷いながらも、とにかく、今日まで生きているのです。
自分のどの世代で初めて生きている喜びを感じたのか探索してみると、20代の体験ですが、飛行機事故に遭遇した時でした。病院で治療を受けながら、自分は何と運のよいことか、と思いました。
もう一つは若い頃、罪の意識で悩まされていたのですが、ふと或る聖書の場面を読み、その事をあれこれ思索しているうちに、明るく爽やかな元気を取り戻した体験です。
その時もっていた何とも言えない暗い感情を綺麗に流し去ってくれた聖書の場面、この場面がその後の私の罪の意識をいつも綺麗に消し去ってくれるのです。不思議な聖書の言葉に出会えた私は幸せ者です。
それはキリスト様が十字架につけられた時、隣にいた犯罪者とされた人が「イエスよ、天の国に行かれる時には私を思い出してください」と語りかけ、キリスト様が「あなたは今日、私と一緒に楽園にいる」と答えた場面です。(参 ルカ23・42~43)この場面が暗い不安感を綺麗に流し去ってくれたのです。
しかもこれ以来、何故か、心の一部が安定してきたのです。今もなんらかの不安感はありますが、このキリスト様の一言は私の生きる希望です。