(このお話は2021年4月に放送したものです)
昨年は世界中が四旬節前後から新型コロナウイルスへの警戒感が強まりました。
ヴェニスのカーニバルがあと2日を残し突然打ち切りのニュースで、いきなり仮面を脱ぎ捨て、悲しそうに天を仰いだ青年の姿が強く印象に残りました。復活祭は緊急事態宣言と前後しました。
1月も終わるころ、数枚のハガキが立て続けに届きました。コロナ鬱になってどうしても年賀状を出す気になれなかった人、寒中見舞いならぬコロナ禍見舞という人、そんな中に「外出自粛・3密禁止で八方塞がり。年賀状作成断念と決めたのですが、皆様から寄せられた年賀状は温かいものでした」とあり、「最近の空は澄んで気持ちがいいです。航空便の大幅減便で排気ガス減少でしょうか、それとも春が近いせいでしょうか」と結ばれていました。
第3波による緊急事態宣言の最中でワクチン接種までの時間は測れない状況でしたが私には希望がめばえてきました。 顧みると、この一年間自然が身近でした。春は晴天が続き、草花が育ち、美しい花が咲きました。夏は厳しい暑さでしたが、海岸では一昔前の穏やかな夏休み風景が見られました。いつまでも気温が高く遅い秋でしたが、例年になく美しい紅葉でした。
冬になり、私はあるイベントの企画を抱え調べ物をする中、21世紀の20年間で20世紀の平均的な自然の58%が既に失われた事実を知りました。地球温暖化による地球環境の悪化は両極地に近いほど酷く、グリーンランドの氷が解けての地割れや、ブラジル南端の自然発火による森林火災など、目を覆うばかり。
イベントでは、コロナ禍を体験して自宅で過ごし、家族との会話の中、子供たちは地球環境の変化に気づき、自然への感謝と保護の気持ちを、大人は命への思いを語りあいました。