春のこの季節には、これまでの冬と一変して、草が緑の絨毯を敷き、木立には花が咲き競います。何とも美しく楽しいですよねー。
実は私は、もう50年近くも昔、カルメル会の修道者だった時代に、「カルメルの花」という聖母マリアへの祈りを作曲しました。この曲は今も毎年、カルメル山の聖母の祝日に、聖歌隊によって歌われています。ロングランですねー。
その歌詞の中に「イェッセの根、芽吹く幹よ」と、聖母に嘆願する言葉があります。このイェッセ、またはエッサイとは一体何なのでしょうか。「どこかで聞いたような、目にしたような・・」という方も多いのではないかと思います。それもそのはず、新訳聖書のマタイ福音書の冒頭、1節から17節までのイエス・キリストの系図にちゃんと記載されているからです。
ですが、たとえキリスト者であっても、ここに載っている42人の名前を、毎回、いちいち読んでゆくのは、私を含めて、かなりしんどいです。そこで、ここはざっと流し読みをすると、どこかでチラッと目の端に入るのがこのエッサイなのです。
続けて、このエッサイがあの有名なダビデ王をもうけたとも記されています。
今、春の季節に世界中の教会は、結局最後には、ただ死んでゆく以外に道はなかった私たち人間の兄弟として、死んでしかも復活された主イエス・キリストを讃えます。それがイースター、復活祭であり、私たちも各々死を通ったあと、復活する道が開かれた喜びを示しているのです。
そして、この主イエスの祖先こそ、エッサイでありダビデなのですが、聖母マリアのではなく、その夫となった聖ヨセフの祖先なのです。こうなると、退屈だった系図が俄然意味深長になってきますねー。