ある日の大司教館での昼食時、大司教様が「海浜清掃に行きたい」とおっしゃいます。すると補佐司教様が、「若手の神父様たちに声をかけてみましょう」と答え、その後、話はトントン拍子で進みました。
教皇フランシスコが回勅『ラウダート・シ』の中で呼びかけておられる環境問題について、具体的に取り組みたいと常々話しておられた大司教様の思いは、なんと二日後に形となり、有志の若手司祭や信徒の方々、小神学生の70名程が海岸に集まりました。当日、大司教様はマザー・テレサの言葉を紹介し、「私たちの活動は大海の一滴かもしれないが、小さな活動が大きな愛の行いとなる」と話されました。それから軍手にごみ袋を持った私たちは、流木、ペットボトル、サンダルなどのプラスチックごみ、漁船の網などを集めました。やってみて、海岸には実はこんなにごみがあったのかと驚く一方で、ごみ拾いはなぜこんなに気持ちよく、爽やかなのかと思いました。後日、シスターの卵である志願生の中高生たちが、「私たちも誘ってほしかったです」と言って、自分たちで町を歩き、ごみ拾いをしたと聞きました。嬉しくて、この輪が持続し広がってほしいと思いました。
この自然界は神の満ち溢れる愛が実現された「創造の福音書」です。美しい自然、海、動物も人間も、神が「よし」として創造された、互いに姉妹のような存在です。だからこそ、自然界によって私たちが癒されるとき、私たちの内なる環境は一新され、改めて、私たちは神と人との調和も取り戻すことができるのだと思います。エコでシンプルな、できる小さなことを持続継続することが、大きな意識変革へつながることを期待したいと思います。