妻が病院で患者さんへの傾聴の仕事を始めてから半年を過ぎた頃、疲れが出たのか、足腰に痛みが出るようになりました。やがて、日に日に足を引きずるほどに悪化しました。
ダウン症をもつ10才の息子の子育てと家事を含め、私は妻と協力して生活しているつもりでしたが、少し気が緩んでいたことを反省しました。妻の症状は坐骨神経痛と思われ、すぐに私は治療院をやっている友人に電話をしました。妻は何度か通い、患部を温めてもらい、痛みは改善してきました。しかし、疲れると再び痛みが出るため、妻への「小さなサポート」をさらに積み重ねるように心掛けました。友人の治療院では気功を取り入れているようで、私は意を決して、妻に効果のあった簡単な気功の方法でマッサージを行いました。
治療院でいただいた薬を妻の腰に塗った私は両手を合わせてさすり、摩擦熱で温まった両手を患部に当てると、妻は「温か~い...」とリラックスした状態になりました。力を入れず無心で患部をさすると、妻の表情がほぐれてきました。そして翌朝――妻はふつうに歩けるようになったのです。
家族が豊かな関係を持続していくためには助けあいなくしては成立しません。支えあい、苦楽を共にすることで、どんな時にも持ちこたえる絆を養いたい、と私は願っています。
「ほら、足が上がるでしょう」と言う妻を見て安堵しつつ、ふいに、実家近くの修道院の畑でいつも作業をしていた、在りし日のシスターの笑顔を思い出しました。彼女は「しあわせという言葉は仕事の〈仕〉という字を〈合わせる〉ことで〈仕合わせ〉になるのですよ」と、若き日の私に語りました。これからも〈仕合わせ〉の言葉を胸に、日々を歩みたいと思います。