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サステナブル

シスター 山本 久美子

今日の心の糧イメージ

 ここ数年、「サステナブル」という言葉をよく耳にするようになりました。「サステナブル」という言葉から、まず私が思い出すことは、「もったいない」という日本人の心です。ノーベル平和賞受賞者で、環境保護活動家であるアフリカ人女性、ワンガリ・マータイさんも「もったいない」という日本語に感銘を受け、世界中に、この「ものを大切にする日本人の心、生き方」を伝えました。「もの」というのは、この被造界のすべてを指すと思います。

 「サステナブル」な暮らしのため、身近な日常で、「もったいない」心を忘れないことによって、ちょっとした自分なりの努力ができます。

 例えば、東京オリンピックでは大量の弁当廃棄のニュースが流れ、これまでに真の「空腹」の体験のない私も、さすがに胸が痛み、悲しみと怒りの感情と共に、なぜ、満足に食べられない子どもたちに提供できなかったのか等の疑問が沸いてきました。

 こんなニュースを聞いて平気な人はそうはいないと思いますが、ふり返って自分の生活を見ると、ごく身近に「食品ロス」という問題は山ほどあります。お買い得品だからと言って、ものを買い溜めし、結局、腐らせる、賞味期限切れになる、処分するという現実があり、日々燃やされるゴミも食品の廃棄の割合は非常に高いと言われます。

 水の出しっぱなしや電気のつけっぱなしということも身近な日常ではないでしょうか。

 「もったいない」心とは、結局、ものを大切にするだけではなく、それをつくった人への感謝や尊敬の心、信仰心、飢えや貧困で苦しむ人、物理的には遠い国々の人々、未来を担う子どもたちへの思いやりや配慮につながり、自分の視野と心を広げることになると思うのです。