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共生社会

植村 高雄

今日の心の糧イメージ

 私たち人類は厳しく冷酷な社会を生き抜いてきました。しかし、どんな時代でも、他人の幸せを考えないで自分の幸せだけを優先した結果、周囲から嫌われ自滅していく人々が沢山いました。

 ギリシャ神話や日本神話も、一人で生きることの哀しみを描き、また共に生きることの喜びを描いています。昔から愛読されているグリム童話、世界各地に伝わる子供向けの民話も深い知恵に満ち満ちています。

 人々が仲良く生き抜く知恵を得るのは案外難しいようですが、昔から現代まで語り続けられている民話には、共通した哲学があります。

 一つには「真・善・美」という考え方、また、視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚と呼ばれる「五感」への配慮、そして日常生活での「喜怒哀楽」という感情、この三つの視点がキーワードのようなのです。

 各時代の優れた「かたりべ」は自分流の表現で共生社会の重要性を語ろうとするのですが、或る時代、この「五感」は危険視されていました。人々は真善美という世界があるらしいと感じてはいたのですが、その世界をどう表現すべきか苦しんだ時代もありました。どの時代にも想定外の悲劇が訪れますが、現代は人類の大先輩達が残した優れた宗教、哲学があります。

 人々を元気づける音楽療法、味覚療法、絵画鑑賞療法なども神様からのプレゼントのような一面があります。この方法で対処しますと、人々が元気に、明るく、爽やかに生き抜いていきます。

 もちろん、一人ひとりが置かれた環境はそれぞれ違い、生き抜く知恵も、住んでいる国や地域で違います。そのため、社会で共生していく知恵も違いますが、「真善美、五感、喜怒哀楽、という視点」は知恵の源泉のようなものだと言えるのです。