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共生社会

松浦 信行 神父

今日の心の糧イメージ

 しばらく経つと、「ああそうだったのか」と感じることがよくあります。それは大阪の教会にいた頃でした。3人の神父が4つの教会を受け持つという、共同宣教司牧をしていたときのことです。

 四つの教会ですから、結構、中高生たちがいました。それで久しぶりだからと、神に心を強めていただく「堅信式」なるものを合同で行うことになりました。

 式の準備として勉強会や合宿を半年前から行いました。中高生たちも日が経つにつれ、次第に横のつながりを感じ始め、だんだんとお互い打ち解けて活発になってきました。そして堅信式を迎えることになったのです。一人の神父がその堅信式を担当し、私と他の一人はそれぞれ別の教会でミサをしてから、式後の祝賀会に駆けつけました。

 すると、会場のある場所に、中高生がたむろしています。そしてその中心には、私たち神父のボス、司教がいます。よく見ると、中高生は列をなして一人一人司教に挑戦をしていました。何を挑戦しているかと耳を澄ますと、「あっちむいてほい!」のかけ声が聞こえるではありませんか。そして司教が負けると、「わあー」と中高生たちは歓声を上げるのです。

 私たち神父や、教会の役員たちは顔を見合わせながら、冷や汗ものでした。やっと一巡して、司教が解放され、私の顔を認めて近づいてきました。それが不思議と笑顔なのです。そして、「松浦神父、この教会の中高生たちは、みんな"教会の子"だね。久しぶりに出会ったよ」と、満足げでした。

 同じ年齢の集まりで力を得て、違った年代の人々と臆せずに語り合う。年代の違い、男女の違い、国籍の違い、立場の違い、ハンディの違い、それらのものを超える、共に集まることの力強さを示す体験でした。