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共生社会

シスター 萩原 久美子

今日の心の糧イメージ

 昨年の夏、日本ではオリンピックに引き続き、パラリンピックが開催されました。正直に言うと、パラリンピックを真剣に観戦したのは今回が初めてで、パラリンピックという言葉は知っていても、それがどのようなものか知ろうとしなかった自分に気づかされました。

 パラリンピックに出場された選手の方々の障害やその程度は様々で、また、初めて目にした競技もありました。しかし何よりも、人間の持つ可能性の偉大さというものを目の当たりにして、選手たちの活躍に感動し、胸が熱くなる毎日でした。

 同時に、選手一人ひとりを支えるサポーターの動きにも目が離せませんでした。その選手自身が持つ個性を尊重し、一人の人間として関わる姿。必要な時に必要な支えを行い、相互に信頼し、認め合いながら共に戦う姿。選手とその選手を支えるサポーターとの間には、障害があるから、ないからという意識や隔たりはなく、同じ人間同士の支え合い、補い合いが見られたからです。

 「人が独りでいるのはよくない。彼に合う助ける者を造ろう」。(創世記2・18)

 神様は人間を創造されたとき、人間が独りで生きる存在ではなく、互いに助け合い、補い合う存在として創られました。人間が人間を支配したり、階級をつけたり、差別したりして分け隔てるのではなく、共に生きることを望んでおられるのです。

 パラリンピックで見たあの光景が、特別なこととしてではなく、私の住む地域、社会でもみられる光景であるといいなあと思います。そのためには、まずは私自身が心の扉を大きく開いて、周りを見る必要があるのでしょう。私の心の内にある、人を分け隔てる壁を取り壊していく恵みを願いながら。