「きつねとパンのき」という絵本があります。小野洋子 文、西川おさむ 絵によるものです。私がまだ小学生の頃に弟が保育園から持って帰ってきた絵本でした。今でも、「あの絵本どこにあるかな?」「かわいかったよね」と家族が揃うと話題に上る絵本です。
おなかをすかせた子ぎつね3兄弟とその3兄弟にパンをプレゼントしてくれたやさしいパン屋のおじさんのお話なのですが、最終的に、子ぎつねたちは病気になったおじさんを今度は自分たちが助ける番だ!と言ってパン屋のお手伝いを始める、という物語です。何とも温かい気持ちになる絵本です。おじさんの気持ちとキツネの3兄弟の気持ちが優しくて、その雰囲気やパンの香りが漂ってくるようです。
食べ物には、作る人と食べる人の中にその時の嬉しい記憶が残されるように感じます。食べ物は人の体にとても大切なものですが、同時に心にも染み渡っていくように思います。
イエス様は私たちの心と体のいのちの糧となられました。その糧をいただき、日々助けられ生かされていることを感じます。先日、ミサの中で聖体を拝領する時に神父様が割いたパンの片方をいただきました。なんだかうれしくて粛々と自席に戻ってその感覚を味わっていました。その時、「主イエスのいのちを生きよ」とのメッセージが心の中に響いてきました。イエス様はご自身を割いて私たちのいのちとなっていかれます。そのいのちはつながって、私たちの中に平和と一致をつくっていきます。
私自身の小さないのちもイエス様のいのちの糧に生かされて、平和のパンとなることができるのだと思います。イエス様のように自分自身を分け与え平和とよろこびの絆として生きられることを望みます。