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心のなごみ

林 尚志 神父

今日の心の糧イメージ

 出張先の街を歩いていますと、すれ違う多くの学生さん達がみな「こんにちは」と挨拶をします。自転車でマスクした男の子がすれ違いざまに、もぞもぞっと「お早うございます」と行きすぎます。慌てて振り返り、背中にお返し挨拶を送ります。女子学生は聞こえるか聞こえないような声で挨拶してくれます。

 交差点でブレーキ掛けて自転車から降りた生徒さんが、目を輝かせてはっきり「お早うございます」。こちらも「どこの学校?」「部活は?」などと、信号が変わる迄短い会話が生まれます。「気を付けて、元気で!」「はい」など辺りの空気が変わっています。雰囲気が和んでいる様に感じます。

 調子に乗せられて、こちらからも声を掛けます。慌てて返事してくれる人も、はっきり返事してくれる幼い子ども達もいます。

 黙って通り過ぎる人もいれば、すれ違ってから微かな声で返事してくれる人もいます。様々です。

 コロナ感染症の拡大が進む中で、歩いて健康を維持しようとする人々が増えました。お互いにすれ違い時の挨拶も増えたり、立ち止まってお話をする人々も見受けます。マスク越しだったり、離れてマスクをずらしたり。

 今迄知らなかった道を歩いて、知らなかった人々と挨拶を交わしているうちに、地域の中での動きの楽しさとくつろぎを感じます。庭先の人と挨拶して話をしたり、そこの花を巡っての話しが多いですが。

野良猫や散歩犬も話題になります。名刺交換などしなくても、何となく知っている間柄に和んできます。

 不思議なものです。今更、挨拶の話でもないのですが、挨拶の持っている不思議な、時には神秘的な力を感じます。尊敬と信頼と大切にする心が染み込んでいる挨拶は「なごみ」を創造しますね。