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心のなごみ

中野 健一郎 神父

今日の心の糧イメージ

 「マリアさまの所へ、ミニ巡礼に行きませんか」と、昨年の5月末、ある神父様からお誘いを受けました。向かった所は、長崎郊外・外海のルルド。地平線の向こうに沈む夕日はとても美しく、和やかさを感じる畑のそばを登ると、大きな「扶助者聖マリア」が、その下の森には、洞窟を思わせる岩屋に「ルルドのマリアさま」が手を合わせておられました。「やっぱり5月はこれでしょ」と神父様がおっしゃり、私たちはルルドの前で一緒にベンチに座り、ロザリオの祈りをしました。マリアさまを見つめ、交互に祈りを唱えていると、不思議な心地よさとともに、小学生の頃の教会での思い出が、当時の感覚とともに甦ってきました。

 わが故郷の教会では5月と10月、夜7時からロザリオと聖体賛美式が行われ、当時は多くの子どもたちがお祈りに来ていて、ほぼひと月通った子に、主任神父様は運動靴をご褒美にくださいました。

 でも、教会に通う私の心は度々土砂降り状態でした。内向的な私は、「僕は融通が利かない、おねしょは治らない、頭の回転も遅いし、本当に駄目人間ですよね」と嘆き、気づくとマリアさまに悲しみをぶつけていました。泣きそうな目で見つめた、「祈るマリアさま」は、子ども心にうっとりする程美しかったです。後に、そのルルドの聖母像は、原爆を免れて残ったマリアさまだと知りました。

 人々の悲しみに寄り添い、多くの人を癒し、小さき者の拙い嘆きさえ祈りに変え、御子イエスさまに届けてくださるマリアさま、こんな不束な司祭ですが、あなたに導かれ、真の安らぎに至る水を、もっともっと味わわせていただきたいのです。喜びの泉である母マリア、いつまでも私たちの素敵なお母さんでいらしてください。