気づき

古川 利雅 神父

　普段と変わらない日常。慌ただしく過ぎゆく中、いつもと同じように鏡に映る自分の姿を眺めた時、しわが増えていたり、白髪が増えていたりなど、ふと気づくことはありませんか。じっくり見れば見るほど、ゆっくり見れば見るほど、様々なことが明らかになります。

　これまでも見えているはずなのに見えていない、気づいていないことは多いでしょうね。沢山の情報が眼に映り、自分の中に入っているのに、知覚するのはそのうちの一部分のみ。興味や関心のあることには気づくけれど、それ以外のことに気づくのは難しいのでしょう。

　そんな私たちですが、忙しさの中にあっても立ち止まってみる時間、ゆったりした時間、じっくり物事を眺め、考える時間は大切でしょうね。自分を眺めれば、普段気づかなかった自分がそこにあり、他人や物事を眺めれば、気づかなかった他人や物事がそこにあります。

　でも気づきは様々。良い気づきだけでなく悪い気づきも。両方とも真実かもしれませんが、現実は現実として受け止めるにしても、良い気づきを大切にしてはいかがでしょうか。人や物事の良い面を見い出し、大切にしてゆくなら、きっと変えられてゆくことでしょう。

　今日はこんなに良いことが、あんな良いことがあった。あの人にはこんな良いところが。その様に過ごすなら、困難や苦しみの中にあっても、きれいな花の咲くのを見つけた喜び、砂漠のオアシスで憩う喜びの様に嬉しさの中、嬉しさの余韻の中で歩んでゆけるでしょう。

　ゆったりとした時間、じっくり眺め、考えて過ごす時間を取り、様々なことに目を向けてみませんか。新たな気づきのうちに喜びを見いだすことができますように。神からの祝福が豊かにあります様に。