近所の友人Yさんのご主人が神経の難病と診断された。大ショックのYさんと介護のことをネットで調べた。多様な介護体験記は読むのも辛かったが、ある方がモットーとした「明るく、焦らず、諦めず」と言う言葉に私たちは救われる思いがした。Yさんはこの言葉を心の拠所に前向きに介護する決心をされた。13年前のことである。
6年後、車いすになったご主人と近くの公園を散策するYさんを見ると心が痛んだ。「こんなに残酷な病気はない。」と吐露された。病名を知らないご主人が落ち込むと、あの言葉で慰さめるそうだが、意識は正常なのに体が徐々に衰えるのを見守るしかない苦しみは、夫を癌で見送った私にも察しがつく。
ふと思いついて「家で指圧をしない?」と誘ってみた。以前一緒に習った指圧の快さがYさんの助けになるといいなと思ったからだ。
毎週、ご主人がデイケアの日に我が家で指圧が始まった。その時のおしゃべりはストレス解消になった。
仏教徒のご両親が日常会話で教えてくれた言葉の数々が今になってよく分かるとYさんは言う。それらはイエス様の愛の言葉と根本は同じなので、私もよく聖書の話をした。だからYさんとは心を開いて幸せな生き方や信仰の話ができるのだ。指圧の後、簡単な手作り会食もして、いつも心も体も満たされて笑顔で別れた。
3年後の2016年、緊急入院したご主人は、最愛のご家族に見守られて安らかに天に召された。「介護に打ち込んで良い最後だったので何も思い残すことはない!」と明るく笑うYさん。
夫を亡くして始めて気づくことが多い私たちである。死ぬまで気づき、勉強なのだ。
「イエス様。いつも共にいて、大切なことを気づかせて下さい。」と祈る毎日である。