高校を卒業し、大学生活をスタートする時。医師としての人生を開始する時。独立開業して地域医療を開始する時。子供が生まれて、親になった時。私には、こうした新たな出発の時にいつも大事にしている言葉があります。
「Ad Maiorem Dei Gloriam(より大いなる神の栄光のために)」。イエズス会の創始者である聖イグナチオの言葉です。イエズス会を母体とする私の母校(中学、高校)の講堂に刻まれていた言葉です。
私は幼児洗礼でキリスト教信者になったものの、その後全く教会に行かない不真面目な信者であった為、初聖体と堅信をする事なく中学に入学しました。そこで初めて信仰について少し学び、遅ればせながら初聖体と堅信の秘跡に預かることとなりました。この時、代父となってくださった先輩から頂いたお祝いのカードに一言、この言葉と共に「お互いにこれから大事にしていきたい言葉ですね」と書かれていました。中学に入学してから、何度も見て来た講堂に刻まれた言葉でしたが、このカードを頂いた時から私の心に深く刻まれる言葉になりました。この先輩は小児科医としても大先輩であり、今でも私の憧れであり、目標となっている方です。
この言葉、もとは「Ad maiorem Dei gloriam inque hominus salutem」で「どんなに些細なことでも、それを神の栄光のために努力した時、それは些細でなく、素晴らしいこととなり、あなたの救いとなる」と言う意味だったと思います。格好の良いことを書きましたが、少なくとも私はそう解釈し、先輩からお祝いの言葉として頂いてからずっと大事にしている言葉です。